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こんなこと言っちゃいけないと思うけど、もうインバウンドの受け入れをこれ以上増やさないでくれと思ってる。俺みたいに仕事で土日地方に行くことが多い人間にしわ寄せが大きい。ホテルも交通機関もすぐに満杯になってしかも高い!どんどん酷くなる気が…勘弁してくれ!すいません。言っちゃいました
— 高知東生 (@noborutakachi) February 22, 2025
高知さんのXへの投稿が話題になっています。「インバウンドの受け入れは勘弁してほしい」という意見も高い宿泊費と移動費用を払わざるを得なくなったと感じている個人の見解としては理解できますが、この考え方は大局的な視点に欠けると感じました。
というのも日本はそもそも毎年島根県一県分(約50万人)の人口減少が続いている、超がつくほどの人口減少国です。このような国ではインバウンドの方々からの収入というものが非常に重要になってきます。日本は観光立国を目指すと言っており、2030年には6000万人の観光客を呼び、15兆円お金を使ってもらうと言っています。訪日観光客による日本でのお金の消費な輸出にあたるのですが、15兆円規模の産業は自動車産業と同レベルの輸出品目に当たる大事な産業です。
日本のインバウンド戦略の目的
- 背景:日本では人口が減ることで国内の観光客も減り、地方の活力が低下する懸念。
- 目標:2030年までに15兆円の収入を得るため、6000万人の外国人観光客を呼び込むことが狙い。
インバウンドの効果
- 交通機関、ホテル、レストラン、百貨店など、様々な業界が外国人観光客から大きな収入を得ることができる。
- 観光業に従事する人々の所得向上も図られており、最低賃金引き上げの施策とも連動している。
「インバウンドの受け入れは勘弁してほしい」という考え方について
果たして、 「インバウンドの受け入れは勘弁してほしい」という声に応えてインバウンド観光客の減少により外国人依存が難しくなった宿泊施設が、2060年には現在の約2/3に人口減少すると言われる日本で、日本人を主要ターゲットに国内向け価格設定に切り替えることが課題解決の正しい方法と言えるのでしょうか?この方法では宿泊業の成長は望めず、「インバウンド受け入れをやめろ」という意見が、単なる個々の損得感情に過ぎないと受け取られても不思議ではありません。
解決方法はあるのか?
少しマクロな目線で日本の将来の経済を考えると、インバウンド観光客の増加を受け入れつつ、日本国民が豊かな生活を送れる方法の模索ができると思います。この点において、アトキンソンさんの示す「マスツーリズム」と「オーバーツーリズム」の概念が有効であると感じました。
簡単にいうと、マスツーリズムは単に人が多い状態を意味し、オーバーツーリズムはどんなに工夫しても対応しきれない状態を指すそうです。
マスツーリズムとオーバーツーリズムの違い
- マスツーリズム:多くの人が訪れる状態そのもの。たとえば、英国の大英博物館は多くの人が来ますが、問題なく対応しています。
- オーバーツーリズム:観光客が多すぎて、地域のインフラが対応しきれない状態。
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日本の場合:日本全体ではオーバーツーリズムになっているわけではなく、単に多くの観光客への対応が十分でないだけです。
メディアが一部の例を強調して、オーバーツーリズムが起こっているかのように報道することがありますが、例えば京都とヴェネツィアを比較するのは正しくありません。ヴェネツィアは住民に対して非常に多くの観光客が訪れる典型的な例ですが、京都はそのような状況にはなっていません。
過去10年ほどで訪日観光客数が約6倍に増加した日本では、宿泊業や飲食業、観光施設が新しい種類の観光客に十分な対応ができないのは当然の結果であり、いわゆるオーバーツーリズムというよりは、マスツーリズムへの対応が遅れているというのが正しい理解ではないかなと感じました。
私たちは宿泊飲食業のインバウンド対応を支援する業務用冷凍食品のOEM開発をしています。