インバウンド批判の真相:人口減少時代における日本観光戦略の未来
こんにちは、Grinoの細井と申します。最近少し話題になったXの投稿について、非常に気になる内容だったため、私見を述べたいと思います。

 

話題の投稿

高知さんのXへの投稿が話題になっています。「インバウンドの受け入れは勘弁してほしい」という意見も高い宿泊費と移動費用を払わざるを得なくなったと感じている個人の見解としては理解できますが、この考え方は大局的な視点に欠けると感じました。

というのも日本はそもそも毎年島根県一県分(約50万人)の人口減少が続いている、超がつくほどの人口減少国です。このような国ではインバウンドの方々からの収入というものが非常に重要になってきます。日本は観光立国を目指すと言っており、2030年には6000万人の観光客を呼び、15兆円お金を使ってもらうと言っています。訪日観光客による日本でのお金の消費な輸出にあたるのですが、15兆円規模の産業は自動車産業と同レベルの輸出品目に当たる大事な産業です。

日本のインバウンド戦略の目的

  • 背景:日本では人口が減ることで国内の観光客も減り、地方の活力が低下する懸念。
  • 目標:2030年までに15兆円の収入を得るため、6000万人の外国人観光客を呼び込むことが狙い。

インバウンドの効果

  • 交通機関、ホテル、レストラン、百貨店など、様々な業界が外国人観光客から大きな収入を得ることができる。
  • 観光業に従事する人々の所得向上も図られており、最低賃金引き上げの施策とも連動している。

「インバウンドの受け入れは勘弁してほしい」という考え方について

確かに宿泊費が高くなることは日本国内旅行者にとって問題かもしれませんが、私の最近の出張では大阪市中央区のカプセルホテルに1泊3,000円というリーズナブルな価格で宿泊できました。観光地ど真ん中に位置する施設でこの価格で宿泊できたことに驚くとともに、ビジネス利用としては全く問題なく、非常に魅力的な施設でした。

現在の日本円の弱さや給与水準を踏まえると、海外観光客向けの価格設定が日本人には高額に映るのは仕方がないかもしれません。しかし、主に日本人向けの宿泊施設を運営することは、営利企業にとって経済的合理性に欠け、現実的ではありません。

果たして、 「インバウンドの受け入れは勘弁してほしい」という声に応えてインバウンド観光客の減少により外国人依存が難しくなった宿泊施設が、2060年には現在の約2/3に人口減少すると言われる日本で、日本人を主要ターゲットに国内向け価格設定に切り替えることが課題解決の正しい方法と言えるのでしょうか?この方法では宿泊業の成長は望めず、「インバウンド受け入れをやめろ」という意見が、単なる個々の損得感情に過ぎないと受け取られても不思議ではありません。


解決方法はあるのか?

少しマクロな目線で日本の将来の経済を考えると、インバウンド観光客の増加を受け入れつつ、日本国民が豊かな生活を送れる方法の模索ができると思います。この点において、アトキンソンさんの示す「マスツーリズム」と「オーバーツーリズム」の概念が有効であると感じました。

簡単にいうと、マスツーリズムは単に人が多い状態を意味し、オーバーツーリズムはどんなに工夫しても対応しきれない状態を指すそうです。

マスツーリズムとオーバーツーリズムの違い

  • マスツーリズム:多くの人が訪れる状態そのもの。たとえば、英国の大英博物館は多くの人が来ますが、問題なく対応しています。
  • オーバーツーリズム:観光客が多すぎて、地域のインフラが対応しきれない状態。
  • 日本の場合:日本全体ではオーバーツーリズムになっているわけではなく、単に多くの観光客への対応が十分でないだけです。
     メディアが一部の例を強調して、オーバーツーリズムが起こっているかのように報道することがありますが、例えば京都とヴェネツィアを比較するのは正しくありません。ヴェネツィアは住民に対して非常に多くの観光客が訪れる典型的な例ですが、京都はそのような状況にはなっていません。

過去10年ほどで訪日観光客数が約6倍に増加した日本では、宿泊業や飲食業、観光施設が新しい種類の観光客に十分な対応ができないのは当然の結果であり、いわゆるオーバーツーリズムというよりは、マスツーリズムへの対応が遅れているというのが正しい理解ではないかなと感じました。

官公庁はDX推進を声高に訴えていますが、実際にはDX化が困難な領域も存在します。たとえば、私たちが取り組んでいる業務用冷凍食品などは、DX化が難しいキッチン業務領域を対象としている好例です。このまま何の対策も講じずに、増加する訪日観光客により本格的なオーバーツーリズムが発生すれば、高知さんの指摘が的を射たものになるでしょう。日本人が正当な対価を得ながら、質の高い国内旅行を実現できるようにするためにも、増え続ける観光客に対応する解決策を策定し、実行していく必要があります。

まとめ

本記事では、高知さんのX投稿に代表される「インバウンド受け入れ停止」への個々の不満を出発点に、日本が直面する人口減少や経済構造の変化、そして観光政策の重要性について考察しました。観光立国としての目標達成には、単なる個別のコスト感情を超え、マスツーリズムとオーバーツーリズムの違いを正しく理解した上で、柔軟かつ総合的な対応策を講じる必要があります。現状の課題に向き合いながら、日本人にも適正な旅行環境を提供しつつ、経済成長を目指す戦略が求められているのではないでしょうか。

 

私たちは宿泊飲食業のインバウンド対応を支援する業務用冷凍食品のOEM開発をしています。

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