2024年、日本を訪れた台湾人観光客は史上最高の604万人を記録しました。その消費額も初めて1兆円を超え、日本のインバウンド市場において台湾は今や無視できない最重要マーケットの一つとなっています。しかし、多くの宿泊施設や飲食店は、この台湾市場が持つさらなる大きな可能性をまだ見過ごしているかもしれません。それが「ヴィーガン・ベジタリアン対応」です。
なぜ台湾人観光客にヴィーガン対応が必要か?
意外と知られていない事実ですが、台湾の人口に占めるベジタリアン(ヴィーガン含む)の割合は13〜14%と推定されており、これはインドに次いで世界第2位の高水準です。実際、台湾国内には約330万人ものベジタリアンが存在し、素食文化(台湾式ベジタリアン)が深く浸透しています。
台湾では宗教的な背景もあり、若年層から高齢層までベジタリアン食が日常的に受け入れられています。台湾には6000店を超えるベジタリアンレストランがあり、スーパーやコンビニでも豊富なベジタリアン向け食品が日常的に提供されています。そのため、台湾人が日本を訪れた際にも、当然のようにベジタリアン・ヴィーガン対応を期待しているのです。
ヴィーガン対応ができていない施設は機会損失に
一方、日本の宿泊施設や飲食店では、ヴィーガン・ベジタリアン対応がまだ十分に普及しているとは言えません。日本を訪れた台湾人観光客の中には、希望する料理を見つけられず、ストレスや不満を感じるケースが多発しています。特に宿泊施設や飲食店が集中する観光地では、このニーズに対応できないことがリピーターの減少や顧客満足度の低下を引き起こす要因となり、見えない機会損失につながっています。
逆に言えば、早急にヴィーガン対応を取り入れることで、顧客の満足度が高まり、台湾人観光客を確実にリピーターとして取り込むことが可能です。
日本国内で実際に成功したヴィーガン対応事例
実際、日本国内でもヴィーガン対応を積極的に導入し成功を収めた事例があります。例えば当社がオリジナル商品開発で支援した青森の旅館では、ヴィーガン対応の鍋料理を導入し、東南アジアを中心に訪れる多くのヴィーガン旅行者の満足度を劇的に向上させています。
また、東京都内のホテルでは朝食ビュッフェにヴィーガン対応の冷凍食品を導入し、選択肢がなかった外国人宿泊者の評価改善に着々と準備を進めていらっしゃいます。これらの事例が示すように、ヴィーガン対応は単に「食の対応」だけでなく、施設全体のブランド力と国際的な競争力向上につながる戦略的投資なのです。
実際に提供可能なヴィーガンメニュー例
実際の提供可能メニューには、以下のような魅力的な料理が考えられます。
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レンズ豆のダルカレー
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おから入り筑前煮
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バジルのヴィーガンジェノベーゼ
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キノコのホワイトストロガノフ
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シャキシャキレンコンのスパイスカレー
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栗と胡桃のきのこリゾット
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ひよこ豆のグリーンカレー
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白いんげんのカポナータ
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ヴィーガンチーズのパスタポモドーロ
これらはほんの一例ですが、多様なメニューを取り入れることで、台湾人観光客のみならず、多国籍なゲストの満足度向上にもつながります。
まとめ:ヴィーガン対応が台湾人観光客獲得のカギ
日本を訪れる台湾人観光客は今後も増加が予測されます。特にベジタリアン・ヴィーガンという特定のニーズに応えることができるか否かが、宿泊飲食業における集客とリピート率を決定的に左右します。
ヴィーガン対応は、単なる料理の多様化に留まりません。施設のブランド価値を高め、訪日台湾人観光客をはじめとする多様な国際ゲストを長期的な顧客に変える可能性を秘めています。
これからますます拡大する訪日市場において、今こそヴィーガン対応を取り入れ、日本国内の宿泊飲食業が新たな成長機会を掴むべき時です。