目次
・はじめに
・高コレステロールの原因と検査値の意味
・高コレステロールがもたらす影響やリスク
・食事で気をつけるべきポイント
・コレステロールを下げる食材とその作用
・食事の選び方、調理法、食べ方のコツ
・食事以外の生活習慣での対策 ・まとめ
はじめに
高コレステロールは生活習慣病の一つで、日本人の約4人に1人が該当すると言われています。特に中高年以上になるとコレステロール値が高くなりやすく、自覚症状がなくても定期的に検査を受けることが大切です。
高コレステロールは動脈硬化の原因となり、さまざまな生活習慣病を招くリスクが高まります。食事面での注意だけでなく運動不足やストレスなど、生活習慣全体を見直す必要があります。
この記事では、高コレステロールの原因や検査値の見方から、食事のポイント、さらには生活習慣の改善点まで、高コレステロールの人が知っておくべき内容を詳しく解説します。
高コレステロールの原因と検査値の意味
高コレステロールの最大の原因は食事と生活習慣にあります。特に動物性食品を中心とした高脂肪の食事、肉や卵、乳製品の過剰な摂取がコレステロール値を上げてしまいます。また運動不足による過剰な体脂肪の蓄積や、ストレスによる内臓脂肪の増加がコレステロール異常を招きます。
高コレステロールの判定は血液検査でLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の値を確認します。LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれ、動脈硬化を進行させます。HDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれ、動脈硬化の防御作用があります。LDLコレステロールが高く、HDLコレステロールが低いほど動脈硬化のリスクが高くなります。食事や運動、薬物療法によってこれらの値を改善する必要があります。
高コレステロールがもたらす影響やリスク
高コレステロールは動脈硬化を引き起こします。動脈硬化が進行すると血管の通り道が狭くなり、血流が悪くなって様々な臓器に影響が出てきます。
代表的な病気として心筋梗塞や脳梗塞があります。心臓や脳の血管が詰まることで酸素や栄養が届かなくなり、心筋の壊死や脳卒中を引き起こします。ほかにも腎臓病や失明など、動脈硬化による重篤な合併症が多数知られています。
高コレステロールは自覚症状がないことが多いため、定期的な検査が大切です。放置しておくと生命にも関わる病気を招く可能性があることを知っておきましょう。
食事で気をつけるべきポイント
高コレステロールを改善するための食事で大切なポイントは次の3つです。
・動物性食品の摂取を控える
・野菜や海藻などの食物繊維を多く取る
・植物油を使った調理法にする
具体的には、肉より魚を選び、卵は週に2~3個までに抑える等、動物性食品の量を減らします。反対に野菜やきのこ、海藻といった食物繊維を多く含む食材を食事の半分以上を目安に取り入れます。油を使う際はオリーブオイルやごま油といった植物油を利用し、動物性脂肪の摂取を控えることが大切です。
コレステロールを下げる食材とその作用
コレステロールを下げる食材として期待できるのがω-3系脂肪酸です。魚油に多く含まれるEPAやDHAがそれにあたります。EPAやDHAは血液をサラサラにして血栓を防ぎ、動脈硬化の進行を防ぐ効果があります。また、LDLコレステロールの酸化を抑える抗酸化作用もあるため、コレステロール対策に効果的です。
その他、大豆に含まれるイソフラボンや、アボカド、ニンジン、トマトなどの野菜に含まれる食物繊維も、コレステロール低下作用があることが知られています。
食事の選び方、調理法、食べ方のコツ
高コレステロール改善には落とし穴の多い食べ物の選び方や調理法、食べ方にもコツがあります。
魚は白身魚を選ぶことが大切です。鯖やサバといった青魚は血中中性脂肪を下げるEPAやDHAが豊富ですが、加熱によってその効果が下がってしまう点に注意が必要です。料理方法としては、青魚の場合、焼くよりも煮つけるなど、加熱の度合いを抑える調理法を取ることでEPAやDHAの効果を大きくすることができます。
野菜も同様に、加熱しすぎるとコレステロール低下効果がある食物繊維等の成分が壊れてしまう可能性があります。加熱調理する際には火の通り具合に気をつけ、サラダなどの生食も取り入れバランスよく食べるようにしましょう。
油を使った調理の際も、オリーブ油やごま油など植物性不飽和脂肪酸をチョイスしますが、こちらも加熱によって脂肪酸が酸化して効果が下がってしまう点に注意が必要です。コレステロール対策を念頭においた低温調理を心がけることが大切です。
さらに、使用後の食材の鮮度低下もコレステロール値に影響します。魚や野菜は鮮度が下がると老化現象で肝臓のコレステロール合成が上がる物質が生成されるようです。新鮮で鮮度の高い食材を利用するとともに、保存時にもきちんとした方法(冷蔵庫、冷凍、水切り等)を守っていく必要があります。
こうした食材選びや調理法を守りつつ、食事のバランスや楽しさも忘れずに、上手にコレステロール対策食を楽しめるよう工夫していきましょう。
食事以外の生活習慣での対策 ・まとめ
食事以外でコレステロール対策に効果的な生活習慣として、運動と禁煙があげられます。
運動は週3回以上、1回30分以上の有酸素運動をベースに実践することがオススメです。有酸素運動であるウォーキングやジョギング、スイミング、サイクリング等を習慣づけることで、脂肪燃焼の向上や肥満解消によるLDLコレステロールの低下効果が科学的にも実証されています。さらに有酸素運動で血流改善効果も期待できるため、食後の散歩もコレステロール対策におすすめの習慣といえます。
禁煙もLDLコレステロール値改善に非常に効果的です。喫煙そのものが血小板凝集能を高め血栓リスクを増やす他、血管内皮機能を低下させ動脈硬化を促進します。禁煙による血管機能改善と過剰なストレス解消は直接的にコレステロール値の低下に繋がることが臨床的に示されています。
その他ストレス軽減を図るアプローチとして、瞑想やヨガ等を習慣化することもコレステロール対策として効果的です。散歩や体操・軽いランニングなど、気軽な有酸素運動もコレステロールはおろかスコルなどアリーナミン酸の溜め込みを抑制することで心身の健康増進につながります。
まとめ
高コレステロールは食事面だけでなく、生活習慣病という側面を持った症状です。食事内容の見直しとともに、運動習慣やストレス解消法の確立、禁煙等の対策を合わせて行うことが長期的改善には大切です。LDLや中性脂肪を下げつつ同時にHDLコレステロールを増やすことを意識し、食事の工夫と生活習慣の改善を併せてバランスよく進めていきましょう。
参考文献
・厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-012.html
・厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」
https://www.mhlw.go.jp/content/001066903.pdf
・国立健康・栄養研究所「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf