西麻布の名店『割烹 伊勢すえよし』の田中佑樹さんと菜食懐石&Grino Bentoについて語ろう

こんにちは、Grinoマサノです!

今回は12月に配信した『Grino Sustainable Radio』のトークを書きおこしました。

今回は、12月16日〜1月10日までの期間で先行販売予定の「伊勢すえよし   ×Grino Bento」2種を完全監修いただいた“サステナブル板前”こと田中佑樹さんをお招きし、懐石料理人を志した理由や、伊勢すえよしで菜食懐石コース料理を提供することになった背景、料理人としての目標など、田中さんのパーソナルな部分を深くお聴きしました!追って公開予定の後編ではGrino Bentoの徹底解説をお届けいたします!

■マクアケプロジェクトページ(12月16日12時30分公開予定)

身体と環境を想うあなたへ “世界3位”の名店『伊勢すえよし』がつくる極上菜食弁当 https://www.makuake.com/project/grino/

■田中佑樹 氏(https://lit.link/itamae014

料理人の父親の元 幼少から料理の手ほどきを受け、服部栄養専門学校卒業後にミシュラン3つ星の老舗料亭「菊乃井」で修行。

2015年、西麻布に「伊勢すえよし」をオープンし、三重県の生産者のとお客様を繋ぐため日々厨房に立つ。

2021年サステナブル板前と名乗る。地球と人間の共存のために、伊勢すえよしでは定期的に精進出汁・植物性食材のみで構成されたヴィーガン懐石コースの日も作っている。

東京の観光スポット100選を決めるTOKYO100第一弾において第三位に入選。

2021年トラベラーズチョイス ベスト・オブ・ザ・ベストにおいて日本の高級レストラン1位、世界の高級レストランで3位を受賞。

 

 

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ユウ:こんにちは、Grinoのユウです。

ショウタ:こんにちは、Grinoのショウタです。この番組は地球とあなたに美味しい選択肢、冷凍プラントベースフードを作るGrinoのPodcastコンテンツです。今日もゆるく真面目に話していきます。よろしくお願いします。

ユウ:お願いします。

ショウタ:今日はですね、またゲストにお越しいただいております。今回、Grino弁当のMakuakeのプロジェクトを一緒に推進していただいたサステナブル板前こと田中佑樹さんです。よろしくお願いします。

田中佑樹さん: よろしくお願いします。

ショウタ:今日はご自宅からですか?

田中佑樹さん: そうですね、はい、自宅から参加させてもらっています。

ショウタ:はい、今日は弁当の話も後半にしっかり伺いつつ、前半は田中さん自身の話をしっかりがっつり聞いていきたいと思います。お願いします。11月の中旬以来ですね。僕も初めて伊勢すえよしにおじゃまさせてもらって、雰囲気に圧倒された部分もあったんですけど。お疲れさまでした。

田中佑樹さん: 本当ですか!ありがとうございました。

ショウタ:収録しているのは11月12日なんですけれど、今週末の16日にMakuakeのクラウドファンディングが公開される予定になっています。 それに先駆けて今日は対談をさせていただきたいと思っております。では、田中さん、自己紹介と伊勢すえよしのお店の紹介も併せてお願いできますか?

田中佑樹さん: 最近ですね、サステナブル板前と名乗り始めました。美味しい恵みを未来に残すために日々活動しております。伊勢すえよしという飲食店をやっております店主の田中佑樹と申します。東京の西麻布で割烹料理店を営んでおりまして、私が三重県出身なので三重県の旬の食材を使った懐石料理を提供させてもらっております。コース料理のみですね。カウンターをメインにさせてもらってるんですけども、全部で11席の小さいお店です。もう7年半になります。細々とやっているそんなお店の店主です。よろしくお願いいたします。

2人:よろしくお願いします。

ショウタ:ユウさんはお店で料理を食べたことあるんですよね?

ユウ:ありますよ、2回ぐらいお伺いしています。最高でしたね!すみません、語彙力がなくて。あんなしっかりしたコース料理っていうんですか?コース料理っていうとおかしいですか?

田中佑樹さん: 懐石料理ですね。

ユウ:いただいことがなかったのですごく貴重な体験になりましたし、田中さんがすごく丁寧に1品1品説明してくれるのと懐石ってめちゃくちゃ難しい。難しいって僕がいうとレベルが知れちゃうんですけれど、めちゃくちゃ難しい漢字を使ってメニューを書いてくださったりしているので「これ、なんて読むんですか?」みたいな根本的なところからいろいろ質問しながらご飯を食べられて良い体験になりました。

田中佑樹さん: ありがとうございます!何よりです。

ユウ:トウモロコシでまずつまずきましたからね、僕(笑)。

田中佑樹さん: 漢字が難しいですからね。

ユウ:トウモロコシ、実は漢字が難しいですよね。

ショウタ:漢字わからないな。

ユウ:でしょ?はじめて見たレベル。漢検2級くらいの人だったら知ってるかもしれないけど。

田中佑樹さん: ですかね。なじみのある食材ではありますけどね。

ユウ:玉蜀黍、みたいに書くんですけれど、そんな名前の書いてあるお品書きを見ながら、次はこれ出てくるんだこれ出てくるんだってドキドキしながら食事を楽しんだという感じでした。

ショウタ:それ以降、音声のコミュニケーションプラットホームのクラブハウスでもお二人の対談があったのですが、なかなか後から聴けるコンテンツがなかったので、Grinoのこのラジオでやっちゃおうということで今回来ていただいています。今日は田中さん個人の話を深堀りさせてもらいつつ、田中さんを僕らももうすでに好きなんですけど。

田中佑樹さん: ありがとうございます。

ショウタ:後半はGrino弁当を今回2種類作っていただいたんですけれど、それについてこだわりとか工夫した部分とか食べてほしいところを聞ければなと思っております。改めてよろしくお願いします。 では、パーソナルな部分を聞いていきたいなと思っているんですが、田中さんが料理人を志したきっかけなどを学生時代とかも含めて。どんな理由で料理人を志したんでしょうか。

田中佑樹さん: まず、お店の名前が伊勢すえよしっていうんですけれど、すえよしっていうのが父がやっていたお店なんですよ。田中すえよしっていうのが父の名前でして。

ショウタ:なるほど。

田中佑樹さん: 父が37年前に始めたお店なんですけれども、3年前にもう引退したので、すえよしは東京にしかないんです。というようなところがそもそもの名前の由来なんですね。伊勢っていうのは三重県出身っていうことで三重県の食材を使おうっていうコンセプトをそこに乗せているんです。僕の生い立ちはそこのすえよしと非常に密接に関わっていまして。今はあんまりないと思うんですけど、お店の2階が住まいだったんですよ。お店の上に住んでいて、朝学校行く時に絶対に厨房を通るみたいな感じでちょっと変わった家だったんです。そういった家庭で生まれ育ったので、文字通り父親の背中を見て育ったっていう感じですね。

ショウタ:ドラマとかテレビとかで見るような光景ですよね、2階に住んでいるのが。

田中佑樹さん: 絶滅危惧種かもしれない(笑)。

ショウタ:面白い。

田中佑樹さん: 文字通り父の背中を見てずっと育って4歳くらいのときかなと思うんですけども、目玉焼きを作れとなったわけですね。父親とキャッチボールした記憶はないんですけれども、目玉焼きを教えてもらった記憶はたくさんあって。

ユウ:すごいなぁ、それ。

田中佑樹さん: 当然子どものときなので卵の殻が入るとか黄身の部分が割れちゃうとかフライパンに上手く入らないとかいっぱいやるんですけれど、それが父とのコミュニケーションで土日の朝のまかないを僕が目玉焼きを作るみたいな感じで。

ショウタ:へぇ~。

田中佑樹さん: 小学校に入るか入らないぐらいになって目玉焼きからオムレツになって、それが小2、3になった時にだし巻き卵になってみたいな。小3か4くらいのときにはだし巻きを巻けるようになってたなという感じですね。

ユウ:すごい。小3って言いました、今?

ショウタ:やっと目玉焼きを作るかくらいの年齢ですよね。

田中佑樹さん: 卵を割れるくらいの年齢ですかね。物心つく前から料理に触れてたっていうところですね。

ユウ:すごいな。ちょっとスポーツ選手みたいな雰囲気ありますよね。それくらいの年からずっとやってるって。

田中佑樹さん: 父がすごく職人肌とかいうか上手にお喋りとかできないんですけれど、料理を教えることでコミュニケーションをとるっていうそういう戦法だったんでしょうね、僕の教育に関しては。

ショウタ:いいですね。

田中佑樹さん: そんな生い立ちでしたね。

ショウタ:なるほど。お父さんは今も三重に住まわれているんですか。

田中佑樹さん: そうですね。父はお店を引退して今は畑をやったりとかちょっと料理を手伝いに行ったりすることもあったり、自分で家でちょっと料理したりくらいの感じです。そんな感じで過ごしていますね。

ショウタ:ごくごく自然に料理人を目指すようになった?

田中佑樹さん: そうですね。物心つく前から父の店を継ぐっていう意志があって、それをそのまま進んでいった感じではありますね。高校を卒業して東京に出てこようという思いがあって東京の服部栄養専門学校に1年行かせてもらってその後東京で修行をスタートさせるっていう。わりとさ〜っと料理人の道を進んでいた感じはありますね。迷いもなく。

ショウタ:ぶれずに。まっすぐな感じですね。

ユウ:継ごうと思ったのって何かきっかけがあったんですか?それとももうその流れだったんですか、自然と。

田中佑樹さん: なんとなく継ぐんだろうっていうのがあったので物心つく前からその意識があって中学校のときとかの反抗期の時にこの父親を超えてやろうみたいなのがあったんですよ。

ユウ:めちゃくちゃいい反抗期じゃないですか。

田中佑樹さん: 職人肌の親父なのであんまり人の話を聞かないというか自分のペースでご飯を食べたりとか家族のペースでっていう感じじゃなかったりするのがちょっと反抗期でけっこう細かいんですけれど気に障ってて。この父親を超えてやろうみたいな。父親がここまで大きく育てたすえよしってのがあるんだったら俺ならもっと上に行けるぞみたいなそんな反抗意識で。

ユウ:むちゃくちゃかっこいいな。

ショウタ:その感覚、すごいな。

田中佑樹さん: 今となっては父は超えられないってことしか思わないですけどね。

ユウ:そういう感じなんですね。謙虚で言っているんですか、それともものすごい壁となって見えているんですか、お父様が。

田中佑樹さん: いや、壁とは思っていなくて単純にリスペクトできる存在。天ぷらは親父が一番うまいなって僕は思ったりしてますし、技術的な面でも。36年かな5年かな、お店を続けるってものすごい事だと思うんですよ。

ユウ:たしかに。

田中佑樹さん: そのレベルになってくるとお客さんの世代をまたぎはじめるので。3世代とかの枠で誰かの思い出の一部になったりしてるわけですよね。飲食店が長く続くって人の記憶に残ったりするはずなんですよ、絶対に。誰かの集まりだったりとかちっちゃいときによく行ったよねとか法事でこうだったよねとか結婚式のあれでとか。そんな思い出と食のリンクに飲食店が1つ存在するっていうのが年数を重ねるといろんな人のところに刻まれていくんだろうなっていうのがあります。伊勢すえよしは7年半なのでここまで来れたっていう気持ちもあるんですけれど、父のお店と比べたらもう5分の1もいってない、そう考えると偉大ですし頑張ろうっていう感じですね。

ユウ:なるほどね。ちょっとへんな質問なんですけど、いいですか?田中さんのゴールっていうのは、たとえばその30数年同じ看板の店をやり続けるみたいなところにもあるんですか?

田中佑樹さん: ゴールではないとは思うんですけれども。

ユウ:そこに価値はあると感じるんですもんね?

田中佑樹さん: 食べるって記憶に残ると思うんですよ。 僕たち料理人って作品を作ったとしても食べてなくなっちゃうものを作るじゃないですか。芸術家の方とかアーティストの方だと残ったりする方もいらっしゃるじゃないですか。クリエイティブなことをしていくというプロセスで言うとわりと近いことをしている気はするんですね、僕の中では。

ユウ:そう思います。

田中佑樹さん: その中で僕ら料理人は人々の記憶に残るっていうところが圧倒的な面白さであり、それを食べるという経験を踏まえて何かを思い出したりとか何かあると思うんですよ。たぶんユウさんもあると思うんですけれど、食体験で自分の記憶と連動して何かほわっと思い浮かぶほっこりした記憶とかつらかった記憶もあるかもしれないんですけど。僕らレストランとか飲食店っていうところで言うと、ハレの日だったり特別な日だったり人が集まるところであったりそういうつなぎ目で飲食物を提供するっていうのがあったりするんですよね。実は思い出の場所がレストランだったっていうのはけっこう多いと思うんですよ、なんとなく。そういうところに携わるっていうところはすごく素敵だと思いますし、そういう料理を作っていきたいなぁっていう思いがやっぱりあります。それが長くなれば長くなるほどそういう母数というかそれを体験した人の数が世代だったり広くなったりするのでそれは目標としてひとつやっぱりありますし、なるべくたくさんの人に思い出とか感動を残せるような料理を作りたいなと思ってますね。

ユウ:すごく面白い。そういう感覚なんですね。すっごい美味しいものを食べたっていう記憶だけっていうよりもその食を通して食べに来てくれた人の記憶に良い記憶を残したい?

田中佑樹さん: 良い記憶の中に「そういえばあそこであんな料理食べたよね、あれ美味しかったよねそういえば」みたいな、それでいいんですよ。裏方でいいんですけど。あのとき集まって、何かあるじゃないですか、ほっこりするような。

ユウ:ありますあります。

田中佑樹さん: そういうところがやっぱり飲食店としてお店を構える意味があるのかなって思うんですよ。

ユウ:なるほど。ものすごく難しいゴールですね、それ。

田中佑樹さん: いやいや、ゴールは言うならばないかもしれないですね。自己満足に近いところにあると思うんですけれど、自分だけじゃなくて他の人の記憶に残れるとその人もハッピーにできると思うんですよね。だから、幸せの空間の中に僕の料理が華を添えられるようなそんなお店でありそんな料理を提供し続けるみたいなところなのかなと。だから、思い出を思い出す人にとってはその人の大切な記憶にはなるとは思うんですけど、僕ら料理人からすると毎日それを積み重ねていって毎日真剣に料理を取り組んでいってそんな中でこの1人の人がこう思うみたいなところの、僕らはいっぱい毎日同じ作業を淡々とこなすところもあれば一生懸命毎日向き合うところもあればみたいなところもあるんですけど、体験する人にとっては一生で1回だけの体験なのかもしれないっていうような。日々そういう真剣勝負の中でやりつつ、受け手としてはそういう記憶に残るみたいな。そんなところが料理屋さんと食べる人との立ち位置になると思いますし、幸せの輪を広げられるような形になれば理想的かなと思ったりっていうところですね。

ユウ:なるほど。

ショウタ:この話ってお客さんにすることはあるんですか?

田中佑樹さん: することはあんまりないですけれど、7周年のときに僕はそんなことを考えていました。7周年になったときに父のお店は36年続いたよな、36年続けるってどういうことなんだろうって自分の中で考えていて。でも、親父は日々どんなことしてたかなっていうふうに考えると天ぷらを真剣に揚げていただけなところもあるんですよ。だけ、ではないんですけれど。一瞬を切り取ってみるとものすごく一生懸命茶わん蒸しを蒸していたりとか、天ぷらをきちっと揚げたりしているっていう積み重ねのところなだけもあったり。そんな中でもイレギュラーなこともあったりいろんなことが起こるんです、レストランっていうのは。お客さんはその僕らの1個1個にものすごく集中しているというか一球入魂じゃないですけれども全力投球のところの中の一瞬のところに一生の思い出が乗っかってくることだったりするのかなと。それが36年っていう月日のレストランが刻むものだったりするのかなっていうことをなんとなくぼやんと7周年のときに考えていました。

ショウタ:なるほど。

田中佑樹さん: それが父が偉大だなって思ったところに繋がっているところですかね。

ユウ:たしかに偉大ですね、それは。狙ってできないじゃないですか。ここで記憶を残してくださいなんて思い出残してくださいってサービスを提供する側からするとコントロールできないことだと思うので。だから日々同じことをハイクオリティで提供するとその中のどこかにお客さんのものすごくいい記憶が残るみたいなケースがあるということですよね。そんな感じがしましたね。

田中佑樹さん: そうですね。「食」って人生の中でもそういう豊かになる瞬間の記憶とも連動する気がするので料理人としてのやりがいがそこにあるのかなぁなんてことは思っていますね。

ショウタ:ついこのあいだ7周年でそういうことを思ったばかりなのであれば、それをこの場でお話しいただけただけでもかなり貴重だと思いました。

田中佑樹さん: 全然会話の方向性が準備していたのと違ったのでびっくりしましたね(笑)。

ユウ:全然いいですよ(笑)。リアルな感覚が聞けて面白いです。

ショウタ:このタイミングでオファーさせてもらって本当に良かったです。ありがとうございます。突っ込んで菜食の話も聞きたいなと思ったんですけれど、実際こういう割烹でお魚とか三重県の旬な食材を提供されている、もしくは三重県以外のところでたとえば割烹をやっているところに関してはその地元の新鮮なお肉やお魚を提供しているところは多いと思うんですけど、お店が菜食の料理を提供するに至った理由とか田中さんがそれを決断した背景も教えてもらってもいいでしょうか?ちなみにどういうものを提供してるかも併せて伺えると嬉しいです。

田中佑樹さん: 伊勢すえよしで菜食対応・ベジタリアンヴィーガン対応をさせてもらってるんですけれど、時系列でいうとお店をオープンしたときっていうのは対応出来なかったんですね。うちのお店がいろんな方にいろんなシーンで来てもらえたらなと思っているんですけども、お店をオープンするときに自分の中で3つ大きくターゲットといいますか、こんなシーンで来てもらいたいなというのをなんとなく定めたんですね。ひとつが特別な日に、たとえば誕生日とかお祝い、結婚記念日に来てもらう、ご接待とか大事な人をもてなす場として選んでもらうのがもうひとつ、3つめに考えたのが海外の方に懐石料理を広めることをしたいと思ったんですね。3つめのところでいうと僕が修行のあとにバックパッカーをやっていた時期がありまして、いろんな国を廻りながらただ働きでいろんな飲食店で働くというようなことをふらふらしていたときがあって。そのときにいろんなシェフと話をしていたんです。懐石料理っていうものをシェフ自身が知らなかったんですね。和食はすごく有名で、寿司あるよねラーメン鉄板焼きお好み焼きうどんだよねって言ってくれる。「あぁそうか知ってるんだ」と。俺は懐石料理人だぞとちょっと誇らしげに言ってたんですけど、誰もピンと来てない。懐石料理なんだ?みたいな感じになっていて、それがすごく自分の中では悔しかったっていうのがあったんですよね。父のお店も修行をしたお店も懐石料理をやっていて、自分も懐石料理の方向で進めたらなぁと思っていたときだったのですごく悔しくて。 今のお店を開いた時の3つめのターゲットを海外の方に懐石料理を広めるっていうのはそういう理由があって、逆にいうとチャンスなんじゃないかと思って始めたんですね。

ショウタ:うんうん。

田中佑樹さん: おかげさまで海外の方もちょっとずつ増えてきたときにベジタリアンの要望が来たわけですよ。1年くらい経ったタイミングかなと思うんですけども。ベジタリアンかと思って。でも、今の自分にはそこまで料理を作り上げられてないなっていうところでお断りをさせてもらったんですよね。そのときに僕、懐石料理を世界の人に届けるっていう思いがあってそういうふうな人達にも来てもらいたいなって思っていたのに、じゃあベジタリアンだから懐石料理を提供できないお店にするって自分の目的とかこういうふうに届けたいっていうところとズレるんじゃないかみたいなところこが出てきたわけですよ。そこからものすごく自分の中で何とかするぞっていう気持ちになって、ベジタリアンの方でも楽しめる懐石料理を作れないものなのか、たとえば出汁も全部ダメ、ヴィーガンっていうレベルの方にも提供できるものが本当に出来ないだろうかっていうところで自分で試作だったりいろんな料理を構築したりというのが始まった。

ショウタ:なるほど。バックパッカーの経験が直接的に菜食に結びついたのかなと思ったらそこではなくて、そのあとに来てくださった人達からの要望に応えられなかったことがスタートになってるんですね。

田中佑樹さん: そうですね。僕はすごく懐石料理に誇りを持ってるんですけれども、たぶん日本人の方が懐石料理を食べる機会がすごく減っていると思うんですよ。もしかしたら誰かの結婚式に参加したときに懐石料理を食べる機会があるかもしれないですけど、たとえばデートのときに懐石料理を食べに行きますか、フレンチのコースを食べに行きますか、シャンパンで乾杯しますか、日本酒で乾杯しますか。たぶんフレンチでシャンパンで乾杯したい人が多いと思うんですよね。それはそれでいいと思うんですけど、どこかの人生の中でせっかく日本人に生まれたのだとしたら日本の食文化を料理に表したような懐石料理っていうものを楽しめる時間というか体験というかそういったものを経験することがあってもいいんじゃないかとすごく思って。日本人の方向けにもそう思いますし、海外の方にとっても誰も知らなかったので、もう今まで自分の人生で勉強してきた中で懐石料理でやってきたけれども、やっぱりそこの文化とか楽しみとかってすごく良いのになぁ、知ってほしいなぁっていうのが一番強い根源ですね。そのやろうと思ったところの。

ショウタ:決め手から実際にヴィーガン懐石を出せるようになるまでどれぐらいかかったんですか?

田中佑樹さん: ベジタリアンの方へのお料理は半年くらいで出来たかな。ヴィーガンってなってくると出汁の難易度が高くて。

ユウ:たしかに。

田中佑樹さん: 日本料理の中には精進料理っていうものがあるわけなので、いろんな知見はあるんですけれども自分がそこで満足できるようなものがなかなかすぐにはできなくて1年半ぐらいかかったんじゃないですかね。全部ヴィーガン対応できるみたいなところになるまでには。

ショウタ:なるほど、かかりますよね。普通にお店をやりながら開発しないといけないわけですよね。

田中佑樹さん: そうですね。まぁ時間はかかりましたし、まだもちろんベジタリアンの方向けだからとかっていうのに関係なくやっぱり料理人としてどんどん勉強していきたいって気持ちは強くて。日本料理ってすごく奥が深いのでずっと勉強な感じではあるんですよね、僕の中で一生勉強っていうような。やっぱりその中でも通常の懐石料理はお肉や魚も食べられる方向けの懐石料理もどんどんインプットして表現の幅を広げたいなとも思いますし、菜食の方向けにもとても美味しい懐石料理を提供できるように考えていきたい。どっちもずっと研究して学び続けたい。自分の料理を表現していきたいし、もっと良くっていうのは常に思っています。

ユウ:ありがとうございます。飲食店の方々がヴィーガン対応をするのってインバウンド向けの取り組みとして官公庁とか推奨したりして理解しやすいんですけど、田中さんの話を聞いた感じだとシンプルにヴィーガンの人たちにも楽しんでもらえるように割烹を用意したいみたいな心持ちを感じたんですよ。完成させるまでに1年かかってるじゃないですか?モチベーションは途切れなかったんですか?田中さんの中の善意でやってる気がしていて。

田中佑樹さん: それが出来なかったらまず店に立つ土俵じゃないんじゃないっていう感覚でしたね。

ユウ:すごいなぁ!

田中佑樹さん: 自分は日本人の人も海外の人も含めて懐石料理の良さっていうものを三重県の自分が生まれた故郷の食材を使いながらそういった生産者さんの思いも伝えながら自分の料理を懐石料理の枠の中で表現がしたい。それをいろんな人に届けたいと思ってお店を始めたので。お店で儲けることももちろん大事なんですけれど、儲けるだけじゃなくて自分がやりたい届けたいことっていうのをイメージしながら始めたのでそれを思ってやり始めたけど、この人には駄目ですみたいな感じに自分がなったことがすごく悔しくて。あ、土俵に立てていない、急いでやるぞみたいな感じでやっていましたね(笑)。やっぱり1皿のお料理を作るだけではないので、10品くらいのコース料理でメリハリをつけつつ美味しいものに仕上げていくっていうところで時間はかかりましたね。

ショウタ:基本的には修行で習ってないことばっかりですよね?

田中佑樹さん: そうですね。でも、人生そうじゃないですか。学校で習った以外のことが人生の中にいっぱい出るんじゃないですか(笑)。

ショウタ:たしかにおっしゃる通りですね(笑)。

田中佑樹さん: お店を構えたときに自分がやりたいことがはっきりあったので、そこはもう自分が何とかそういうのができるようになるしかないというような感覚ではありましたね。

ユウ:実際にすえよしのカウンターにも置いてありますもんね。田中さんの三重県でも取り組み。フォトアルバムみたいなのに説明付きで。

田中佑樹さん: 心の流通っていう言葉を使わせていただいているんですけれど、三重県の旬の食材を使うっていうところのもうちょっと深いところまで僕の中では思いがあって。生産者さんの心まで見えるようにしたい。どんな思いで作っているかまでお客さんに届けたいし、お客さんの感想とかフィードバックみたいなのを生産者さんに届けたいっていうのを料理人としてやりたいなと思っていて、それを懐石料理として乗っけたいな、そんな思いがあるんですよね。

ユウ:それ、めちゃくちゃ感じながら、いただきました。本を読みながら。お行儀良くないと思うんですけれど。説明用の書籍が置いてあって、それを拝見しながらこういう心持ちでやってらっしゃるんだって見ながら。あれは体験としてすごくリッチでしたね。

田中佑樹さん: ありがとうございます。飲食店での食体験として豊かな時間だったり豊かなお料理を提供したいなっていうのが最初の父の話のところにも繋がったりしているのかなぁとは思ったりしています。そんなところが生産者さんのお話を伝えるであったりとか、どんな方であっても食制限があってもなるべくそこに極力対応する姿勢であったりとかっていうところが大事なのかな。なので、うちはベジタリアンの方やヴィーガンの方だけではなくて、例えばグルテンフリーとかハラルとかコーシャルとかいろいろな食制限をお持ちの方もたくさんお見えになります。そういった方にもなるべく出来る限りのことは対応させてもらう形でやってますね。

ショウタ:なるほど~。ここでとってつけたように紹介するのもへんな話ですけれど、2021年のトラベラーズチョイス ベスト・オブ・ザ・ベストに日本の高級レストラン部門で1位、世界の高級レストラン部門で3位っていう実績、 僕は最初にそれを見て面食らったんですけど、実績の一端というか理由が今の説明ですごくわかった気がします。

田中佑樹さん: ありがとうございます。すごく光栄なことにそういった賞を頂戴してすごく励みになって。たしかにお客さんとお話をさせてもらっていて海外の方でまた来てくださる方もいらっしゃってすごく嬉しいなぁと思っていたときの受賞だったので、自分が今まで伝えたいなって思っていたところを共感してくださって満足をしてもらったっていうようなところで感じてもらっている人がいらっしゃったことは励みになりますよね。そういったところで評価してもらえると。

ユウ:さっきの田中さんの話を聞くと納得しますね。この1点にかける体験のこだわり。この人にとって最高の思い出が残るようにっていうふうにやっているから、旅行者たちは感動を覚えるというか。単純に美味しいものを食べに来ているだけじゃなくて、思い出を作りに来ているんじゃないかっていうのは感じますね。

田中佑樹さん: そうですね。僕が海外に行っていたときに感じたことなんですけれど、たった1人の人間でその国の印象が決まるなっていうことが僕の経験としてあって。たとえば、この人にものすごく優しくされたからこの国の印象はとても良いとかこんな嫌なことがあってとか。たとえば何かを取られてしまったとか何か悪いめに遭ってしまったときの、たった1人が要因で起こったことって実はその国の印象さえも変えてしまうんじゃないかなってなんとなく思っていて。そこでいうと、海外の旅行者の方で伊勢すえよしにお見えになりますってなったとしたら、2時間対面で話ができるんですよ。2時間対面でしゃべれるってもう国を背負っているような気持ちになる。

ユウ:完全に思いましたね(笑)。国、背負ってるなぁ、この人って。

田中佑樹さん: でも、僕には武器があるんですよ。懐石料理っていうこの日本の文化そのものを表現したような武器っていうものを持っていて、かつそれを作ってくださる生産者さんのストーリーっていう武器も持っていて、僕がどうやって料理に乗っけるかにかかっている。料理もそうですし、コミュニケーションもだいぶ取るようにして食体験として豊かなものにして、日本の記憶っていったらすえよしで食べたご飯のこれっていうようなところまでできるといいんじゃないって日々1人1人お話をさせてもらったり料理を提供させてもらいながら、そんなことを考えながらやらせてもらっていますね。

ショウタ:ありがとうございます!ちょうど前半がここで締まるなと思いました。

田中佑樹さん: よかった。

ユウ:マネージメントすごい。

ショウタ:そんな田中さんの思いをGrino弁当に込めていただいたということなので、後半は今回お作りいただいた2種類のGrino弁当についてお話しいただきたいなと思っております。まず前半、ありがとうございました。

 

 

~後半へ

 

 

ショウタ:ここから後半を始めていきたいと思います。改めてよろしくお願いします。

2人:よろしくお願いします!

ショウタ:前半はとっても面白い貴重な話を聞くことができたので、もうそれだけでもおなかいっぱいなんですけど、本題であるGrino弁当、今回2種類を田中さん監修で完全にほぼゼロイチで作っていただいたので、そこに関するお話を深く聞いていきたいです。まずそもそもどういう繋がりでこのGrinoと関わることになったのかなっていうところを少しお話できますか?

田中佑樹さん: 前半のところでも少しお話ししたところでもあるんですけども、伊勢すえよしという懐石料理のお店をやりながらベジタリアンやヴィーガンの方、そうじゃない方にも楽しんでもらえるようにいろんな対応をできるようにしていったというところをお話しさせてもらったんですけど、もう1つここに至るまでの出来事がありました。コロナでパンデミックが起きたときにすごく時間ができたわけなんですね。その時間にこれからどういうふうなことを思いながら料理人としてやっていくのかを改めて定めた方がいいなと自分の中で悶々としておりまして、ひとつ自分の中でこうしようっていうのを決めたんですけれど、それが美味しい恵みを未来に残すというようなことを軸に料理人としてできることをもっとやっていきたいなと思ったんですね。僕は学者でもないので、菜食がどうかとかわからないですけれど、選択肢として菜食っていうものが美味しい恵みを未来に残す何か要因にもなりよるんじゃないかな、可能性のひとつなんじゃないかなってことを僕の中で思っておりまして、今までお店として菜食の方への対応もさせてもらっていたんですが、4ヶ月に1回春夏秋冬で献立を変える程度に留まっていたのが現実だったんですけれども、この時間があるときにそこを更にアップデートできないかなと思っていて、毎月献立を変えるくらいまで人々があまり動けない時期にちょっと自分の中でインプットをしていた時間にはめていたんですね。自分の中で料理の幅をいろいろ拡げていったんですけど、そんな中で菜食の可能性が日々どうなるのかを考えながら自分の料理を表現する幅を広げるようにやっているときにユウさんと出会ったんですね。ユウさんがクライマタリアンという言葉を使われていたんですけれど、そこにすごく僕は共感をしてこの人と何か出来ないかなぁとすごく思ったんですよ。

ユウ:ありがとうございます。

田中佑樹さん: 料理人として料理の表現として同じ枠で出来ればと思っているんですが、良い意味でビジネスとしてこういったものを広めていくっていうものを世の中に提供できないかっていう話をユウさんがされていて、角度が違うけど一緒のことを思ってるよな、何かをしたいなって思ったのが一番のきっかけで、形になったのがこのGrino弁当なんじゃないかなって思っています。

ショウタ:ありがとうございます。ユウさん、補足ありますか?

ユウ:そうなんですよ。クライマタリアンはけっこうキーになっていて、田中さんと僕の間に出会うきっかけをくれた人がいて、クライマタリアンのMayuさんという方なんですが。そのMayuさんが環境のために食べるものを考えるっていうライフスタイルをしている方でその方のFacebookグループのチームの中にたまたま田中さんがいて。

ショウタ:なるほど。

ユウ:田中さんが話をする会に僕がたまたまお邪魔したんですよ。zoomで田中さんが日々の取り組みとか考えを話すっていう機会があって、すごく貴重な板前さんがいるんだなぁって思ったんですよね。サステナブル板前なんて聞いたことないじゃないですか。そんな人が存在するんだと思って。興味を持ってイベントでご一緒させていただいたりして、とても考え方やベクトルが近いなと思ったりしたし、この方とものを作ったらすごく面白いものが生まれるんじゃないかなと思ったりしてご相談させていただいたっていう流れですね。

ショウタ:僕もユウさんから初めての話を聞いたときにインパクトがある代名詞というか、サステナブル板前って。言葉のインパクトがぬぐえないままプロジェクトが進んでいったんですけれど、食べたときに板前さんの力量の凄さにすごく感動しました。今からその2種類のお弁当について詳しく聞いていきます。正式名称は完全決定はしていないんですが、どんな弁当を作ったのかを田中さんからそれぞれ、これも代名詞でいいんですが2種類の弁当のご説明をお願いします。

田中佑樹さん: 2種類の弁当を作らせていただきました。ちょっと弁当の説明をする前に僕が普段ベジタリアンやヴィーガンの方、菜食の方にお料理を作るときに心がけているところなんですけど、僕が肉も魚も食べる料理人なんですね。肉も魚も美味しい要素がいっぱいあると思っているし、お野菜も美味しい要素がいっぱいあると思ってるんですよ。菜食やベジタリアン、ヴィーガンの方も肉や魚を食べられないからと言って満足度の低いものを提供したくないってものすごく思っていて。何が言いたいかっていうと、肉も魚も食べる人がいたとしてその方がこれを食べても普通に何にも考えずにうまかったって言えるものにしたいっていうのがすごく強くあるんですよね。それはもう本当に普段のお料理のコース料理を作ってるときも同じことを考えてますし、基本的には自分が食べたいと思った料理じゃないと出したくないので。そこのところまでとにかく美味しくっていうのをすごく大事にしてるところなので、それがいろんな自分自身が作れるお料理ではないですけれども、制限がある中でどこまでそれを出来るかっていうことで試作に試作を重ねて納得できるところまで来ているので、いろんな人にも菜食の方にもそうじゃない方にも食べてもらえるものを作り上げられたのかなと思って、そのあたりを楽しんでいただければなと思っています。というところで2種類の弁当の説明に入らせていただきます。

ショウタ:お願いします。

田中佑樹さん: ひとつめが「菜食三色丼」というものを作らせてもらいました。三色丼っていうと鶏そぼろと卵の炒り玉子と刻んだお野菜のお浸しが入ったものが多いんですけれど、それを完全プラントベースで作ってみたところがひとつめになります。このそぼろのところに気合を入れまくっているわけなんです。高野豆腐やしいたけや大豆ミートもちょっと使ったりして、甘辛く炊きつつ旨味も食感もきちっと肉の感覚、満足感のあるものっていうところを仕上げました。隠し味の香りにごま油を使ってこれだけでご飯が進むよねみたいな感じのものにしたいなっと思ってかなり試作をして作りました。メインの3色丼としてご用意していますね。 他の2色は卵黄風フムス。これは山﨑由華さんの開発したお弁当にも入っていて、これはすごく美味しくてバランスが凄く良くて、このお弁当に相性がよくて色味も綺麗なので3色の中の1色としました。もう1色が小松菜。刻んでお浸しにしたものを乗せています。食感も楽しくて緑で綺麗なので、このあたり楽しんでもらえるんじゃないかなと思っております。メインのお米の上にそれがどんと乗っているわけなんですが、副菜もしっかりと考えてご用意しました。ひとつが根菜の霙(みぞれ)煮っていうものを入れているんですけれど、蓮根、しいたけ、里芋、かぼちゃ、人参、いんげんですね。これを大根おろしを含ませながら煮物に仕立てたものですね。開発秘話をちらっとお話をさせてもらうと、これを作り上げてもらっているところで僕がお店でやっているお出汁の取り方がちょっと難易度が高くてお弁当まで落とし込むのが難しいっておっしゃっておられたんですね。オペレーション的になかなか厳しいと。僕の中で煮物はあった方がいいよなって思っていたんですけれども、ちょっと今までやったこともない技法になるんですが、調味料とすごく少量の水で真空をかけることによって野菜から引き出した甘みと旨みといったエキス的なところをそれぞれの野菜から引き出してあげてそれを煮物みたいに含ませる技法が出来ないかとやってみて、それがうまくいったっていうのがこの根菜の霙(みぞれ)煮です。

ユウ:すごいな。

田中佑樹さん: 真空っていう機械があるのと上手に炊けるものがあったので、そこからさらに煮物として完成はしているんですけれど、そこをさらに煮物の満足度をあげるために大根おろしを絞ったものをその煮汁に浸して含ませてあげてそれと一緒に食べてもらうと野菜から出た甘み旨味エキスがそこにも吸い込んで、それをお箸で大根おろしで拾って蓮根と一緒に食べてみると、さらに煮物を煮物の味でさらに深まることが出来る。そんなところでみぞれ煮にさせてもらいました。あと2種類の副菜があります。蓮根のずんだ和えですね。ずんだ和えっていうと、甘くてあんこじゃない緑のやつでしょっていう方もけっこういらっしゃると思うんですが、これは甘くない副菜でして、枝豆をすり潰してちょっとお醤油を入れてそれを蒸した蓮根と和える甘くないお料理です。食感とか味のバランスとしてはそぼろだったりとか根菜の煮物が割としっかりとした味が多いので、少し箸休め的なところで優しい感じの味付けで食感も楽しめるものにしたいなってことで豆の甘みを引き立てられるくらいの調味料で仕上げてご用意しています。おくらの昆布和えっていうのもありましてこれも箸休め的な感じではあるんですけれども、おくらをゆがいて刻んだものと刻み昆布、そんなにこれも味が強いものじゃなくてサラダ感覚に近いです。盛り沢山の感じでこれが菜食の3色丼、一品目完成したものですね。

ユウ:ありがとうございます、丁寧に。

ショウタ:ぜひ写真を見ながら説明を聞いていただきたいのでリンクを貼っておきます。聞いていただいている方はリンクの写真を見ながら改めて説明を聞いていただきたいです。僕も今、説明を聞きながら自社商品でありながらめっちゃくちゃいろんなもの入ってるなと思って。満足度、相当高いなぁと思いながら聞いていたんだけど、ユウさんは実際に食べて。

ユウ:副菜が副って言葉で収まらない感じなんですよ。さっき話したみぞれ煮とか試食したときに「美味しい、これ」ってなって。お弁当を作ってくれている江戸川区のキッチンの方と試食したんですが、なんでこれが出来るの、よくこれを思いつくねみたいな話をさせていただきながら、これ是非やらせてもらいましょうみたいな話になったんです。主食は主食でものすごく存在感とともに楽しんでいただけるんですけど、最後まで田中さんのデザインが行き届いたお弁当になっているのでこの説明とともに食べていただけると食体験がものすごく充実したものになると思うのでそんな食べ方をしてもらえるといいなと思っています。

田中佑樹さん: ありがとうございます。

ショウタ:本当にこれ冷凍なのかって思うと思うんですよ。

ユウ:冷凍なんですよね、まごうことなき冷凍なんですけれど、これ冷凍なのかってなるんですよ。

ショウタ:そうなんですよね。

ユウ:そこが面白いんですよ。

ショウタ:田中さんのレシピの完成度プラス僕らが契約しているキッチン、Tokyo Bento Laboさんの完成度の高さも併せて味わっていただきたいなと思います。

ユウ:そうですね、そこも含めてですね。

ショウタ:もうひとつのお弁当の説明もお願いします。

田中佑樹さん: はい!もうひとつが「菜食味噌茄子田楽」というお弁当をご用意させてもらいました。このメインになるのが茄子の田楽になるんですけれども、揚げて火を入れた茄子の上から味噌田楽をかけているんですけれど、ただ味噌田楽にするだけだとちょっと物足らないかもしれないなっていうところで大豆ミートを使ったお味噌にしました。八丁味噌にして非常にご飯の進むような味にしたいなというところで甘しょっぱいといいますか、味噌好きにはたまらないような味付けにしたいなと作らせてもらいました。ご飯のところがさくら大根と枝豆の御飯でちょっと色とりどりの綺麗な感じにしたいなと思って、さくら大根は単体でも美味しいんですけれども、それと枝豆と混ぜご飯ですね、綺麗な感じでご用意しました。さくら大根がいいものが見つかって副菜でそのまま使おうかって話も、箸休めのお漬物みたいな感じで置いてもいいかなと思ったんですけど、もうちょっと主役まではれるかなというところで綺麗でかつ食感にもなりご飯の味の要因にもなるようなところで入ってもらうことにしました。これを茄子田楽の肉味噌と絡めて一緒に食べてもすごく美味しいなっていう味のバランスに仕立ててご用意をしています。食感も楽しいですね!彩りも綺麗だと思います。先ほどと同じになるんですが、根菜の煮物の隙間にお米の上に乗せたりとか茄子の田楽の隙間にちょっと入れさせてもらったりして、いろんな野菜も煮物として楽しめるように添えています。

ショウタ:はい。

田中佑樹さん: あとはおくら昆布和えですね。これも同じく箸休め的なところで入れさせてもらっております。もうひとつ、ゴボウとキノコの梅肉炒め。これは山﨑由華さんが開発されたお弁当にも入っているものですね。ちょっと酢の物が欲しいなって思ったのとお酢の物でありながらお米も食べられるよねっていうすごく美味しい仕上がりになっていて、お弁当としてバランスが摂れる枠で使いたくて入れております。彩りもよくて肉味噌風の味噌で茄子の重厚感も楽しめながらご飯が進むような味付け、そんなところで完成させてもらったお弁当「菜食茄子味噌田楽」でございます。

2人:ありがとうございます!

ショウタ:これはもう見た目がとにかく華やかで春っぽくて、大根がピンクに色づいてるんですけども、そこがもうすぐ正月が来るこの時期にぴったりだと思います。贅沢なのはさっきご紹介いただいた煮物がこのお弁当にも入っているところ。これが2種類どちらも同じ価格で食べられるのはすごく贅沢だと思うので、ぜひこちらもお試しいただきたいと思います。ユウさん、補足ありますか?

ユウ:日本食は改めてもう最高すぎると思ったんですけど、まず見栄えもするじゃないですか。目でも本当に楽しめる。お米にさくら大根を入れて枝豆を入れてすごく華やかな作りになっているし、味噌田楽もすごく素敵に盛り付けされているし目で見て楽しめるし、当然味がものすごくいいんですけど体にいいっていうのが両立するのが日本食の本当にいいところだと思って。例えば、わかりやすいアメリカの料理とか見ると、トレードオフな気がしてるんですよ。美味しいけど体に良くないとかそういうトレードオフが発生しがちなんですけど、今回の田中さんに作ってもらったお料理ってもう全てをしっかりと網羅されているものなので、悪いところが本当に無いんですよ。

ショウタ:そうですね。

ユウ:味噌田楽だけに手前味噌ですけど。

2人:あはは(笑)。

ユウ:最高でした!

田中佑樹さん: ありがとうございます!今の和食が健康だよねっていうところでちょっと僕の中で捉えているところがありましてちょっと話させてもらっても。世界的に見ても今、和食ブームなんですよね。今ユウさんが言ったことがまさしくなんですけれど、美味しくてヘルシーっていうところが一番大きいんですよ。なんで和食ってそんなになったんだろうって自分の中で考えたことがあって、日本の食文化の成り立ちを考えることでもあったわけなんです。日本っていうのは東の果てで島国で他とも結びつきを常に持ってっていうような感じではない形で独自の食文化が発展してきたわけですけれども、僕が思うところでいうと日本人っていうのは美味しいものが好きで手先が器用であったのが一番の要因だと思うんです。そこに加えて肉食禁止だったりとか鎖国なんかもしていたっていう制限もあったりとかで非常にその能力が遺憾なく発揮されていて、その結果としては油脂分や肉に頼らずにまた強い香辛料もあまり使わずに淡泊な味付けなのに旨味っていうものを基調とした食文化になっていったっていうふうに思うんですよね。

ユウ:さすがですね!この説明。

田中佑樹さん: そこが調味料であったりとか出汁であったりっていうような食材の使い方に繋がっていくのかなって僕は思っているんです。この弁当を食べてもらっても本当に罪悪感は一切ないのかなと。

ユウ:まさにそうですね。

田中佑樹さん: 体も喜ぶし地球も喜ぶっていうようなところに繋がっていくと思いますね。僕は特にそこを意識したわけじゃなくて美味しいものを作りたいっていうだけなんですけれど、和食がおのずとそうなるんだろうなと思いますね。

ユウ:和食は世界を救いますよ。

田中佑樹さん: 救うと思います。だから僕はサステナブル板前って名乗ってるんですよね。

ユウ:もうね、サステナブルですね。調べたんですよ。二酸化炭素排出量についてなんですけど。日本人の食における肉類摂取量がめちゃくちゃ少ないんですけど、日本ってけっこう食において環境に貢献してるなと思ったんですよ。

田中佑樹さん: うんうん。

ユウ:そもそも欧米と比べて摂取量が少ないので。日本人の食生活ってけっこう低炭素な食事だなと思いつつ、ただその日本食っていうカテゴリーの中で美味しさとか見た目とかを追求している田中さんみたいな人がいるからどんどん未来志向な最強な食ができていっているなって感じたんですよ。

田中佑樹さん: そうですね。日本人の人ってシェフは特にだと思うんですけど、やっぱり美味しいものがめちゃくちゃ好きなんですよね。めちゃくちゃ細部までこだわるし。

ユウ:そういう意味で言うとハードルが高いですよね。

田中佑樹さん: そうですね。そういったところを日々のお弁当っていうところに落とし込める今回の取り組みはすごく僕は面白い、やりがいがあるなって思っていたんですね。最初の前半の方でお店の話をしたときにちょっとハレとケの日の話を。聞いたことありますか、ユウさん。

ユウ:あります。

田中佑樹さん: 僕がお店をやっているのがハレの日になるのかなと思うんですよね。いわゆる一般的にいうとハレの日、特別な日、おめでたい日。そういったところで飲食店があるのかなと思っているんです。ケの日って何かっていうと日々の日常的なところなんですよ。今回のお弁当ってケの日、日常の中に入り込むお弁当だと思うんですよね。お店でやっていることはハレの日の方でどんな方でも菜食の方でもそうでない方でも美味しく懐石料理を楽しめるようなってところなんですけれど、今回ケの取り組みでどんな方でも菜食の方でもそうでない方でも普段の食生活の中にサステナブルな要素だったり美味しく和食で健康的に体も喜ぶようなものを取り組めるようなところをやるっていうところでいうとあんまりコンセプトは変わっていなくてシーンが変わっているだけなのかなと思っているんですよ。

ユウ:うんうんうん。

田中佑樹さん: もちろん料理の構成とか味付けのバランスはだいぶ変わったりはするんですけれど、本質的なところは食体験としてあるのかなと思っていて、ケの日でここまで楽しめるかくらいなものを作ったらこれはすごくいいんじゃないか、すごく楽しいし幸せを提供できるんじゃないかなというところでものすごく僕の中でも気合を入れてやらせてもらいました。

ショウタ:ありがとうございます。

ユウ:最高ですね!

田中佑樹さん: 普段肉とか魚を食べている方にもものすごく食べてもらいたいんですよ。満足いかないことはたぶん無いと思うんですよ。僕が満足いくところまでいけているので。もちろん菜食の方に食べてもらって美味しいよねって言ってもらいたいのはめちゃくちゃあるんですけれど、普段肉や魚を食べます、フレキシタリアンです、みたいな人がこの弁当に行き当ってくれるのが僕はすごく楽しみです。いろんな日があっていいと思うんですけど、こんなケの日もあっていいよねみたいなところで美味しく和食を提案できるお弁当になったんじゃないかなと思っています。

ショウタ:実際、お弁当を買う日ってどっちかと言うと本当にサボるとかラクするイメージが少しあると思うんですけど、ケの日なんだけどめちゃくちゃハレの弁当を食べるっていう完全に新しい体験を得られる弁当になったっていうのが今回のこの放送で伝わったと思うのでぜひ1回、Makuakeのクラファンが始まりますので、そこで試していただきたいなと思っております。

田中佑樹さん: ぜひぜひ皆さん、お試しいただければと思います。

ショウタ:めちゃくちゃ熱のこもったご説明ありがとうございました。

田中佑樹さん: ありがとうございます。

ユウ:ありがとうございます!

ショウタ:全国いろんな人が楽しめるように弁当化したんですけれど、せっかく伊勢すえよしの田中さんと何かをやるのであれば、クラファンのリターンの中にお店の中で体験イベントもできないかと考えて田中さんに快諾いただいたリターンがありますのでそこの説明をしたいなと思っております。そのリターンの内容としてはこの弁当自体も届くんですけれども、それプラス2月4日のお昼にですね、限定8名で伊勢すえよしの店舗にて田中さんの菜食のコースが楽しめるというリターンのセットをご用意しています。田中さん、その内容を少しご説明いただけますでしょうか?

田中佑樹さん: はい、これは普段、伊勢すえよしでヴィーガンの方、ベジタリアンの方に提供させてもらっている懐石料理ですね、ヴィーガン懐石と僕らは呼んでいるんですけど、こちらのお料理を楽しんでいただくっていうような会になります。特別な枠としてご用意をさせてもらっていますのでGrinoさんの貸切で、買っただけでその会はやらせていただきたいと思っております。

ショウタ:ありがとうございます。伊勢すえよしの座席数に合わせた定員の8枠を設定させていただいておりますので、本当に早い者勝ちなんですけれど、ぜひこの機会にちょっと東京近郊の方だけが対象になってくると思うんですけども結構スペシャルな機会だと思うのでぜひお申し込みいただければなと思っております。お時間も差し迫ってまいりましたので本当にここでいったん締めていきたいなと思うんですけれど、本当にありがとうございました。けっこう人となりの部分とか料理人のルーツの部分までここまで深く掘り下げた動画だったりとかコンテンツってあまりなかったと思うので、今回は音声だけですけれど、僕らも非常に楽しめましたし、田中さんの動画や記事は拝見していたんですけれどそこで語られていないことも話していただいたのですごく貴重な価値のあるコンテンツができるんじゃないかなと思って本当に感謝しております。

田中佑樹さん: いろんな話しをさせてもらったんですけど、やっぱり食べてもらいたいですよね!僕、自信あるんですよ。自分で言うのもあれなんですけど、めちゃくちゃ美味しいと思うんですよ。僕がいうのはおかしいんですけど。

ユウ:言いましょう、言いましょう!

田中佑樹さん: ここまで聞いた人は買ってって思うんですよね。

ユウ:面白い(笑)。

田中佑樹さん: 買わないとわからないというか。人となりは置いといて、味で評価してほしいなと思ってるんですよ!極論ですよ。僕の人となりはいったんここまで聞いた人は忘れてもらって、これを買って食ってみてちょっとまずいとかあったら意見やお叱りの言葉とか受け入れますので。ただ自分としては納得できる、満足できるものができたんじゃないかなっていうところなので、本当に食べてほしいなというのを最後に言わせてもらいたいなと。

ユウ:すごい。ここまで言い切れるケースはなかなかないですよ。

ショウタ:そうですよ、本当に。しかも、開発者が自分の味に自信があるのは当然のことかもしれないですけど、それがキッチンを通じて弁当の形に落とし込まれたときにちょっとでも再現できてないなって思っていたらこの発言ないと思うんですけど、それぐらいキッチンのTokyo Bento Laboさんの腕も確かになんだなっていうのがすごく伝わると思うので。

田中佑樹さん: ユウさん、すごかったですよね?米の硬さとかもすごかったですよね?

ユウ:すごい。本当に田中さんが再現性がめちゃくちゃ高いってことをすごく褒めていたから、キッチンの。そこに尽きるんじゃないですかね。

田中佑樹さん:そうですね、あと見た目も綺麗なんですよね。

ユウ:そうですね〜。見た目もすごく素敵だし。とにかく体験してほしいなと思いますね。

ショウタ:いい機会をいただいたと思いますので、ここからさらに次のコラボレーションに繋げられたら僕らも嬉しいですし、その1個のきっかけとしてこの2種のお弁当をぜひお楽しみいただければなと思っております。前編・後編にわたってありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。本日は以上となります。

3人:ごちそうさまでした!
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