1. プラントベースフードの定義
プラントベースフードとは、植物性の食材のみで構成された料理のことです。一般的に、肉、乳製品、卵などの動物性食品を一切含まないのが特徴で、植物ベースの食事は、その健康上の利点と環境の持続可能性から、欧州を中心に人気が高まっています。
植物ベースの料理には、果物、野菜、豆類、ナッツ類、穀物など、さまざまな食材が含まれており、プラントベースの料理でよく使われる食材には、豆類、レンズ豆、キヌア、豆腐、テンペなどがあります。アーモンドミルクやオーツミルクなどの植物性ミルクは、スムージーや焼き菓子などのレシピに乳製品の代用品として使用することができます。
植物を多く含む食事は、心臓病や糖尿病などのさまざまな病気を予防することが研究で明らかにされています。国連食糧農業機関(FAO)によると、畜産は世界の温室効果ガス排出量の14%を占めており、これは運輸部門全体の合計よりも多いことから、プラントベースフード=低炭素食品であるとされ、植物をより多く食べることが、環境に負荷の少ない食事であると考えられます。
家庭で植物性食品を使った料理を作る場合、難しく考えすぎる必要はありません。スープやサラダは、植物性食品を使った料理を初めて食べる人にぴったりのメニューですし、ベジバーガーや炒め物は、誰もが楽しめるボリュームのあるメイン料理になります。甘いものが食べたい方は、ヴィーガンアイスを作ったり、小麦粉の代わりにアーモンド粉を使ってバナナブレッドを焼いてみましょう。
このように、植物性食品は無限の可能性を秘めており、味や満足感を犠牲にすることなく、より健康的なライフスタイルを求める人々の間でますます人気が高まっている理由がよくわかります。
とはいえ、やっぱり時間がないし、料理があまり得意じゃない。それでも、できる限り自分の体に良いもの、環境負荷の低いものを食べたいという感覚がある方への選択肢として私たちはプラントベースフードの選択肢を出来る限り増やしているといえます。
2. 植物性食生活のメリット
植物由来の食事は前述の通り人気が高まっており、日本においてもこれまでより多くの人がビーガンやベジタリアンをバイアスなく選択しています。私たちが特に良いなと感じている点は植物由来の食品をより多く食べることは、健康に多くのメリットをもたらすということ。糖尿病や心臓病など特定の病気のリスクを減らすだけでなく、健康全般を向上させることができるという論文が多数あります。
植物性食品の利点は、まずその栄養価にあります。植物性食品には、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、食物繊維、植物化学物質が豊富に含まれており、最適な健康状態を保つために必要な栄養素を摂取することができます。特に果物と野菜には抗酸化物質が豊富に含まれており、全身の細胞を損傷するフリーラジカルによる酸化ストレスから身を守ることができます。様々な種類の野菜と果物を食べることで、体が最適に機能するために必要なビタミンとミネラルをすべて摂取することができます。
植物性食品は低カロリーなものが多く、常に空腹を感じることなく健康的な体重を維持することができます。植物性食品を多く摂ることで、カロリーを摂りすぎずに満腹まで食べられるので、体重を減らしたり維持したりするのが容易になるのです。さらに、植物性食品は他の食品よりも食物繊維が豊富なため、腹持ちがよく、食べ過ぎを防ぐというような一面もあります。
植物性食品には、食物繊維、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、植物化学物質が豊富に含まれているため、体重管理に役立つだけでなく、心臓病や2型糖尿病などの慢性疾患のリスクも軽減されます。全粒穀物、豆類、ナッツ類、種子類、果物、野菜を多く含む食事は、炎症を抑え、体の自然治癒力を高め、加工食品や環境汚染物質から有害なものを守ることができます。
最後に、プラントベースの食事の最大の利点の1つは、私たちの環境への影響です。動物性食品(特に反芻をする畜産動物)の生産は、反芻動物によるメタンガス排出を増やすことに繋がり、肉食が増える結果、畜産動物の数も増え、メタンガス排出量が増えるという結果につながります。
メタンガスは二酸化炭素の25倍前後(諸説あり)の温室効果があるとされており、食事の過程でメタンガスを排出する反芻動物が増えることは特に温室効果の高いガスの排出につながってしまいます。間接的ではありますが、プラントベースフードを選ぶということが畜肉の需要を抑え、温室効果ガスの排出量低下につながるという流れがご理解いただけたかと思います。
私たちは畜産業を否定したり、肉食を否定するつもりはありません。代表の細井もついこないだまで(2020年中旬)普通に肉を食べていましたので、今更偉そうなことを言う立場でもありません。ただ、現在の一般的な人類の肉類摂取量が過度な域にあるといことを知ることができたので、摂取量を減らすと言う努力はできると感じるようになったと言う背景があります。
とはいえ、単純に一般的な食生活から肉を減らすだけの食事をするのは続かないと考えたため、美味しく食べられ、選択肢も豊富にすることで、より多くの方が選択しやすい状況を作りたいと考えて、現在のサービスを提供しています。
3. 古代の食事
サピエンス全史の漫画を読んで以来、歴史に関してより長いスパンで興味を持つようになった私ですが、食に関しても御多分に洩れず、面白い歴史があるようです。
太古の昔、植物性の食品は人間にとって最も重要な栄養源の一つでした。先史時代の狩猟採集民からメソポタミアやエジプトでの最初の文明まで、植物は最初から人類の食生活に欠かせないものだったのです。サピエンス全史でも小麦が重要な役割として登場します。(ちなみに「人類は小麦の奴隷になった」と言う少しシニカルな表現がなされていますが笑)
古代エジプトでは、小麦、大麦、レンズ豆、豆類などの作物をいち早く栽培していました。彼らはこれらの作物を主食とし、パンやケーキなどのデザートも作っていたため、食糧難の時代にも多くの人々を養うことができたのです。古代ギリシャ人は、オリーブ、ブドウ、イチジク、ナッツなど、さまざまな植物性食品を食していました。また、フムス(ひよこ豆をつぶしたディップ)のような料理は、日本でも好んで食べられるようになってきていますよね。
古代ローマでは、小麦や大麦のお粥などの穀物とともに、野菜が広く食べられていました。リンゴや梨などの果物も、生食や保存のための乾燥食が一般的でした。エンドウ豆やインゲン豆などの豆類はタンパク質を、パセリなどのハーブは料理に風味を添えていました。また、ハチミツもこの時代のヨーロッパでは、食べ物や飲み物の甘み付けによく使われていた。
植物性の食事はヨーロッパだけでなく、古代には世界中に存在していたのです。中国の殷王朝(紀元前1600年~1046年)ではアワが主要な作物として栽培され、西暦800年以降には東南アジアやインドで米の栽培が盛んに行われるようになり、日本でも紀元前300年頃から栽培され、現在でも最も古い農産物の一つです。
先史時代の狩猟採集民から、現代の菜食主義者に至るまで、人類は植物性食品に頼って生きてきたと言っても過言ではないでしょう。植物性食品は栄養面だけでなく、干ばつや家畜の病気などで肉が不足したり高価になったりしたときの経済的な安定にも欠かせないものです。今度から植物性食品を食べるときには、自分と地球の環境、そして古代の人類がしていた食事をイメージしながら味わえるとより食体験が面白いものになるかもしれません。
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